研究紹介

INDEX

  • 素粒子の模型と物理現象
  • ゲージ理論(特に超対称ゲージ理論)
  • 量子重力
  • 超弦理論

素粒子の模型と物理現象

素粒子の素粒子の物理現象は標準模型という形で現在もっともよく記述されている。 しかし、標準模型となっている電磁相互作用、弱い相互作用の統一理論と強 相互作用の(QCD)とだけでは、クオーク、レプトンの質量や世代の問題など、 まだ理解できていない問題が多い。特に重力を統一理論の枠の中に取り入れて 理解することは大きな問題である。そのために標準理論を超える模型を構成する ことが大きな目標となっている。その際、超対称性が大きな役割を果たすと考え られている。一般に、標準模型を超える統一理論は様々な特徴的な予言を持っている。 これらの理論的予言が実際の物理現象にどのように現れるかを明確にすることは、 これからの素粒子物理学のために重要である。高エネルギー反応での実験データの ような加速器で検証できる特徴だけでなく、低エネルギーでの精密実験や神岡鉱山で 行われているような非加速器実験も重要である。また宇宙物理での観測事実との対応も 興味深い課題である。例えば、宇宙の中に存在するバリオン数を説明する理論などの 研究も行っている。

ゲージ理論(特に超対称ゲージ理論)

近年の場の理論の大きな話題として超対称ゲージ理論で摂動に因らない様々の 量子効果が発見されたという点がある。摂動論の使えない超結合領域の理論が、 双対性によって弱結合の理論と関係付けられることが解った。これらの発展は、 今まで取り扱えなかった場の理論の様々の側面を解明するのに役立つと思われる。 また、超対称ゲージ理論を用いて具体的な模型を構成するためにも有用である。 現在までの研究では、低エネルギーでの振る舞いが分かっただけであるが、 質量スペクトルなど更に詳しい情報を得るために、4次元だけでなく、2次元超対称ゲージ 理論の研究も行っている。超弦理論でも、摂動論によらない定式化や量子効果の研究が もっとも必要と考えられている。この研究は超弦理論非摂動効果の研究につながっていくと 期待されている。実際、超弦理論でも、弱結合領域と強結合領域を結び付ける双対性が 少しずつ明らかになってきている。

量子重力

量子論と重力理論との矛盾の無い統合は永年にわたる大問題である。また、 超弦理論は2次元の量子重力理論とみることが出来る。近年2次元でも 量子重力理論は大きく発展した。格子状の量子重力理論とみなせる行列模型 などを用いて非摂動的な取り扱いも可能になってきており、そこから連続的な 場の量子論としての量子重力理論が定義できるように思われる。計算機の助けを 借りて離散化した量子重力模型を研究し、またそれを解析的にも研究している。 更にこうした低次元量子重力理論を2次元から高次元へ解析接続することにとって、 4次元での重力も定義することが出来るのではないかと期待されている。

超弦理論

弦理論には、開弦と閉弦の理論が存在する。超弦理論は、超対称性を持った弦理論 である。この理論は、重力も含めた力の統一を果たすことのできる理論として、 もっとも期待されている理論である。超弦理論においても、ゲージ理論と同様に 理論の弱結合領域と強結合領域との間にS-双対性なる対称性が見出された。 S-双対性は、また、D-ブレーンと呼ばれる「弦の端に存在しうる高次元の物体」 の超弦理論への導入をもたらした。このS-双対性と、かねてより知られていた T-双対性により、5つの型(タイプI、タイプIIA、タイプIIB、E8×E8ヘテロ、 SO(32)ヘテロ)の超弦理論が様々な形で関係していることも分かった。 近年の超弦理論は、「弦とブレーンとが共存する理論」というように大きく様変り したということができるであろう。 双対性とD-ブレーンに関する研究により、 新たに現れたものとしてM理論がある。M理論は、11次元超重力理論の強結合 領域における理論として定義され、先述の5つの超弦理論と11次元超重力理論とを 統合しているものと考えられている。最近の発展は、M理論やタイプIIB超弦理論の 非摂動論的もしくは構成論的定式化に関するものである。 これらは、「行列理論」と呼ばれ、それぞれD-0ブレーン、D-インスタントンにより 構成されていると考えられている。この理論に関しては現在も熱心に研究されており、 発展の最中である。