夏の学校2014
素粒子論パート



〜研究会1〜
18:45

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19:05
カノニカルアプローチの問題点とその改良法
氏名 岡 将太郎 学年 M2
所属 立教大学 理学研究科
概要
 格子QCDの手法のひとつであるカノニカル・アプローチは、数値的に不安定であることが報告されており、 またその改良版であるWinding Number展開でも、 バリオン数が10以上の領域では計算が難しかった。本講演では、カノニカル・アプローチがなぜ数値的に不安定なのか、 その本質的な部分を紹介する。 また、発表者らの最近の研究で、カノニカル・アプローチの 数値不安定性を一部改善することができたため、 その手法の解説と結果の報告も行う。
19:05

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19:25
Absorption of 3-branes and AdS/CFT correspondence(レビュー)
氏名 坂本 純一 学年 M1
所属 京都大学 理学研究科
概要
 AdS/CFT対応が提唱される以前に現れたそのひとつの兆候として、1997年から始まるKlebanovらによる3-branesの吸収に関する一連の議論[arXiv:hep-th/9702076,hep-th/9703040,hep-th/9708005]がある。 それはTypeⅡB超重力理論の古典解の一つであるextremal black 3-braneによる低エネルギーの無質量粒子の吸収断面積とそれに対応するD3-branes系での計算結果がleading termで厳密に一致するものである。 本発表ではもっともシンプルな場合であるdilaton s-waveに対して古典重力側と弦理論側での計算の概要を紹介し、その導出過程からAdS/CFT対応の基本思想を読み取ることを試みる。
19:25

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19:45
Correlation Functions in AdS_5/CFT_4 Correspondence and Integrability(レビュー)
氏名 桐生 直輝 学年 M1
所属 東京大学 総合文化研究科
概要
 1997年 MaldacenaによってAdS_5/CFT_4対応が提唱され、ゲージ理論と重力理論の関係を示唆した。その後、AdS_5/CFT_4対応をより理解しようと、互いの理論の相関関数を計算する研究がなされてきた。今回は、特にAdS_5/CFT_4対応のゲージ理論側に着目し、可積分性を用いることによって相関関数を解析する手法についてreviewを行う。
20:00

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20:20
The Schwinger pair production rate in confining theories via holography
氏名 川井 大輔 学年 M2
所属 京都大学 理学研究科
概要
 場の量子論の真空に強い外電場を加えたときの非摂動的な粒子•反粒子の対生成は、Schwinger効果として知られている。近年、Semenoff-Zaremboにより、AdS/CFT対応を用いた粒子•反粒子対の生成率が計算された。 本講演では、閉じ込め理論に双対なD3-ブレイン背景を用いた粒子•反粒子対の生成率計算の導出および物理的な結果について議論する。この発表は DK, Yoshiki Sato, Kentaroh Yoshida, Phys. Rev. D 89.101901, arXiv[hep-th]1312.4341に基づく。
20:20

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20:40
S-duality in 4D N=2 SUSY Yang-Mills theory and Low energy effective action(レビュー)
氏名 清水 数馬 学年 M1
所属 京都大学 理学研究科
概要
 N=2 SUSY Yang-Mills理論では低エネルギー有効作用はプレポテンシャルと 呼ばれるものを決定することで求められる。さらにSU(2)の場合モノポール等の ソリトン,S-dualityの存在から、ある仮定のもとで強結合領域においてもプレポ テンシャルを求めることができ、弱結合領域以外でも低エネルギー有効作用を決 定できることを説明する。 本レビューは N.Seiberg and Edward Witten,``Electric - magnetic duality, monopole condensation, and confinement in N=2 supersymmetric Yang-Mills theory'' (Nucl.Phys.B42:19-52,(1994))に基づく。
20:40

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21:00
Supersymmetric Boundaries in N=4 SYM(レビュー)
氏名 中山 翔太 学年 M1
所属 東北大学 理学研究科
概要
 D3ブレーン上の有効理論は4次元N=4超対称性ゲージ理論であることが知られている。一般にD3ブレーンの境界としてD5ブレーンやNS5ブレーンを考えた場合、超対称性をすべて保つことは出来ないが、ある境界条件のもとでは一部の超対称性を残すことが出来る。本発表では[arXiv:1404.5527]に基づいて、超対称性が一部保たれるような境界条件をNahm方程式を用いて解くことで、超対称性が1/4だけ残ったD3ブレーン上の有効理論が得られることを見る。
20:15

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21:35
Supersymmetric backgrounds from 5d N=1 supergravity
氏名 松野 寛樹 学年 D2
所属 東京工業大学 理工学研究科
概要
 局所化により分配関数などの計算を行うためには、曲がった空間上に超対称ゲージ理論を構成する必要がある。超重力理論を用いると、この構成を系統的に行うことができる。この定式化を用いることで、超対称性を保つために(計量を含む)背景場が満たすべき条件や、背景場の変形と分配関数との関係が、4次元や3次元の場合について調べられた。 我々はこの手法を5次元の場合に適用し、5次元の背景場が満たすべき条件と、背景場の変形と分配関数との関係を与えた。
21:35

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21:55
M理論の行列模型(レビュー)
氏名 梅田 直弥 学年 M2
所属 京都大学 理学研究科
概要
 M理論を記述する有用な方法として、BFSS行列模型による記述方法のレビューを行う。
21:55

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22:15
M5ブレーンに関するDBI型有効理論とSeiberg-Witten写像(レビュー)
氏名 金子 幸雄 学年 M2
所属 東北大学 理学研究科
概要
 B場背景中のDブレーン上の有効理論は、非可換空間上の場の理論によって簡潔に表現される。またSeiberg-Witten写像とは、その非可換空間上の理論と通常の理論を対応づけるものである。同様のことを、C場背景中のM5ブレーン上の有効理論に対しても考えることができる。そこで、まず弦理論の場合に基本的な事柄を導入し、M5ブレーン上の有効理論や、Seiberg-Witten写像に相当するものについて説明する。この発表は最近の論文B. Jurco, P. Schupp and J. Vysoky arXiv:1404.2795, 1303.6096に基づくレビューである。


〜研究会2〜
13:30

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13:50
E_6×SU(2)_F×U(1)_A SUSY GUTの兆候としての大きなD-termの寄与
氏名 重神 芳弘 学年 M2
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 スカラーフェルミオンの質量スペクトラムへの大きなD-termの寄与が、E_6×SU(2)_F×U(1)_A SUSY GUTの兆候となることを示す。この模型におけるD-termの寄与の特徴として、異なる世代間のスカラーフェルミオン質量の縮退を解くことがある。このようなD-termはFCNCから強く制限される。しかし、平均スカラーフェルミオンがO(10TeV)であれば大きなD-termの寄与が許され、将来実験においてこのD-termが観測され得ることがわかった。
13:50

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14:10
Seiberg dualityで探る複合Higgs模型(レビュー)
氏名 鍵村 亜矢 学年 M2
所属 大阪大学 理学研究科
概要
 標準模型では電弱対称性の破れは、Higgs機構によってもたらされる。 標準模型は現象論的には大勝利を収めたが、なぜHiggsが真空期待値を持つのか、という質問にはきちんと答えられていない。Higgsを縛る原理は何なのだろうか。この疑問に答える模型に複合Higgs模型がある。 複合Higgs模型は強結合理論でなければ実現されないため、一般には低エネルギー有効理論を得ることが難しい。本発表ではSeiberg dualityを用いた解析が出きる複合Higgs模型を紹介する。
14:10

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14:30
Radiation of supersymmetric particles from Aharonov-Bohm R-string
氏名 米本 隆裕 学年 M2
所属 九州大学 理学府
概要
 ディスクリートR対称性に付随する Aharonov - Bohm string からの gravitino の放射について議論する。現在のダークマターの観測結果を考慮すると、ストリングのスケールに強い制限がかかり、高エネルギーにおける超対称性に関しての示唆を得ることができる。
14:45

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15:05
レプトン・フレーバーを破る(LFV)タウ粒子の崩壊現象(レビュー)
氏名 森 紳悟 学年 M2
所属 総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科
概要
 素粒子標準模型ではレプトン・フレーバーは保存しており、レプトン・フレーバーを破る(LFV)過程は現れない。しかし、ニュートリノが質量を持つ理論など、標準模型を拡張した理論ではLFV過程が存在することが予言されている。そのため、LFVプロセスの発見は標準模型を超えた物理の明らかな証明になる。このトークでは、タウ粒子のLFV崩壊について紹介する。
15:05

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15:25
電弱精密測定から探る新物理の制限(レビュー)
氏名 倉本 渉 学年 M1
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 電弱相互作用による観測量への量子補正がPeskin-竹内のパラメーターと呼ばれる3つのパラメーターS,T,Uに集約されることを見る。近年の電弱精密測定からS,Tの値にどのような制限がつくのかを調べ、新物理を構成する際にこれらのパラメーターの理論予測がどうあれば良いのかを俯瞰する。
15:25

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15:45
輻射シーソー模型におけるバリオン数生成と暗黒物質
氏名 柏瀬 翔一 学年 D2
所属 金沢大学 自然科学研究科
概要
 素粒子物理学における標準模型はさまざまな実験で検証され, 成功した理論である. しかしながら, この枠組みでは説明できない事象も明らかになっており, 模型の拡張による解決が考えられている. このような問題の中でもニュートリノ質量や暗黒物質, 宇宙のバリオン数非対称性は実験的・観測的事実であり, 理論に内在する問題に先立って解決されるべきものである. これら3つの問題を解決するため, 本研究では小さなニュートリノ質量と暗黒物質の存在が共通の起源をもつMa模型に注目する. この模型では新たに導入した右巻きニュートリノとスカラー粒子が暗黒物質となりうるが, ここではスカラー粒子をその候補とし, TeVスケールのレプトジェネシスによるバリオン非対称な宇宙の実現可能性について調べた. さらにこの模型から期待される暗黒物質探査実験の結果について議論する。
16:00

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16:20
Axion monodromy inflation with multi-natural modulations
氏名 山口 雄也 学年 D1
所属 北海道大学 理学院
概要
 BICEP2の結果がPLANCK衛星の結果とは違って、大きなtensor-to-scalar ratioを示唆したため、それを説明する論文が数多く出されている。一方で、負で大きなrunning of spectral indexも強く示唆されているが、それを同時に再現できるような単純なインフレーションモデルは見つかっていない。そこで、私たちはaxion monodromy inflationモデルに非摂動効果としてcos波で書かれる項を加えて解析した。その結果、BICEP2が示唆する結果を全て再現できるパラメータ領域が存在することが分かった。
16:20

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16:40
Adiabatic regularization for primordial perturbations
氏名 中西 由香理 学年 M2
所属 大阪大学 理学研究科
概要
 近年、初期ゆらぎのUV発散を取り除く手法として、断熱正則化を用いる事が考えられている。断熱正則化では、発散項を各モード毎に減算する事で無限大を取り除く為、インフレーションモデルを反映したパワースペクトルの形が従来とは異なってくる可能性がある。本発表では初期ゆらぎ及び断熱正則化についてのレビューを行った後、BICEP2の観測から有力とされるk-inflationモデルでの減算項の計算について紹介する。
16:40

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17:00
繰り込み群で改良したφ4理論における初期揺らぎ
氏名 中西 亮太 学年 M2
所属 広島大学 理学研究科
概要
 インフレーション理論はPlanckやBICEP2などの観測により制限されている。それらの観測と理論を比較するうえで重要な指標となるのは、スペクトル指数nsとテンソル・スカラー比rである。私達はインフレーション理論として、繰り込み群で改良したφ4理論を用いた。そして、スカラーと重力の裸の結合定数ξ0やスカラーの裸の4点結合定数λ0などのパラメータを変えながら、nsとrの振る舞いを調べた。結果は口頭で発表する。


〜研究会3〜
13:30

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13:50
公理論的場の理論入門(レビュー)
氏名 宮川 大輝 学年 M1
所属 京都大学 理学研究科
概要
 場の量子論を数学的に厳密に定義する試みは多々有れども、今現在、いかなるアプローチを以てしても量子電磁気学すら満足に定義できていない。そこで、場の量子論の数学的構成入門として、Wightmanの公理およびそれから導かれる諸定理を解説する。この公理は1950年代に導入され、公理論的場の理論の端緒となった。
13:50

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14:10
コンパクト化とインスタントン(レビュー)
氏名 綿村 尚毅 学年 D1
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 4次元空間のうち一次元を$S^1$コンパクト化した空間において、インスタントン(カロロン)は複数のインスタントンパートンから構成される状態であると見なせる事が知られている。同様に6次元のうち1次元をコンパクト化した空間においてもインスタントンを複数のインスタントンパートンから構成されたものとして見なす事ができる事がある。
14:10

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14:30
Deformations of Conformal Field Theories and Soliton Equations(レビュー)
氏名 小林 諒太 学年 M1
所属 立教大学 理学研究科
概要
 Rational CFTにrelevantな摂動を加えたとき、摂動により変形を受けた系はある可積分系と対応する。例えば、Virasoro minimal modelに(1, 3) operatorによる摂動を加えると、変形された系は摂動論の最低次においてsine-Gordon方程式で記述することができる。より一般に、coset構成されたVirasoro代数に基づくモデルは元のaffine Lie代数に対応したToda field theoryによって記述される。本発表ではいくつかのモデルについて摂動による変形の効果を可積分系として解析し、Zamolodchikov (1989)による既存の結果と比較する。本発表はEguchi, T., & Yang, S. K. "Deformations of conformal field theories and soliton equations." Phys. Lett. B, 1989, 224(4): 373-378. に基づく。
14:45

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15:05
オメガ変形されたN=4超対称Yang-Mills理論における中心電荷
氏名 金山 祐介 学年 D1
所属 東京工業大学 理工学研究科
概要
 超対称ゲージ理論のオメガ変形において並進対称性と一部の超対称性は破れるが、変形パラメータのある極限(Nekrasov-Shatashvili極限)をとることでそれが部分的に回復することが知られている。我々はこの極限における4次元N=4超対称Yang-Mills理論の超対称性を、知られている3種類の位相的ツイストに基づいて調べ、中心電荷を得た。そして、中心電荷に対応するBPSソリトンの従う方程式をエネルギーのBPSバウンドを調べることにより導出した。
15:05

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15:25
c-定理と局所くりこみ群(レビュー)
氏名 菊池 謙 学年 M2
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 Wilson流のくりこみ群は場の短波長成分を積分することで行うので、 '自由度'が定義できれば単調減少することが期待されます。2次元の場の理論の 場合にこれを数学的に記述した命題がc-定理と呼ばれています。まず、元々の Zamolodchikovに従って証明した後、局所くりこみ群の方法を使って別証明を 行います。余裕があれば他の次元についてもコメントしたいと思います。
15:25

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15:45
Black Holes and Entropy (レビュー)
氏名 京野 秀紀 学年 M1
所属 京都大学 理学研究科
概要
 ブラックホールのエントロピーについて、この概念に至るモチベーションを中心に、1972年のJacob D. Bekensteinの論文のレビューをする。
16:00

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16:20
自由場のエンタングルメントエントロピーと3次元QED(レビュー)
氏名 松島 佑斗 学年 M2
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 近年、素粒子理論を含む多くの研究分野において、エンタングルメント・エントロピーが注目を集めている。 本発表において、1+1次元の自由場のエンタングルメントエントロピーをCFTで計算を行うことと、 エンタングルメントエントロピーを利用し3次元QEDでカイラル対称性の破れが起こる場所についてのレビューを行う予定である。
16:20

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16:40
Qantum Entanglement of Local Operators
氏名 野崎 雅弘 学年 D3
所属 京都大学 理学研究科
概要
 近年、素粒子理論を含む多くの研究分野において、エンタングルメント・エントロピーが注目を集めている。本発表においては、発表者の研究内容に関係づけてエンタングルメント・エントロピーの持つ特徴的な性質について説明したいと思う。
16:40

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17:00
超対称Renyi entropyをもちいたTBH_3/qSCFT_2対応の検証
氏名 田中 章詞 学年 D3
所属 大阪大学 理学研究科
概要
 3次元の「超対称レニーエントロピー」という量が近年発展した超対称ゲージ理論の局所化の方法をもちいconical singularityがある3次元球面上で厳密に計算できることが知られている。一方、よく知られているようにd次元球面上の分配関数はd+1次元場の理論の球領域のエンタングルメントエントロピーないし双曲面上の分配関数に等しい。このことから「位相的ブラックホール」が「超対称レニーエントロピー」の重力双対であることが予想される。本発表では最近我々が研究しているBTZブラックホールと2次元球面上のSCFTの間の関係を述べる予定である。


〜ポスター発表〜
XQCD(レビュー)
氏名 長澤 亮 学年 M2
所属 大阪大学 理学研究科
概要
 ハドロンの物理はクォークモデルによって記述される。一方、そのクォークの力学は量子色力学(QCD)によって記述される。このクォークモデルはQCDから直接導かれたものではなく、その性質をQCDから直接説明することが原子核から素粒子理論までの統一的な理解には不可欠である。そこで昨年、この問題を解決するべく、Lattice界の大御所であるD.B.Kaplanによって拡張されたQCDの理論が提案された。本発表ではその論文のレビューをする。
D. B. Kaplan "Extended QCD" arXiv:1306.5818 [nucl-th]
離散フレーバー対称性によるレプトン混合パターンの導出と暗黒物質の安定性
氏名 安原 大貴 学年 D1
所属 京都大学 理学研究科
概要
 レプトンセクターのフレーバー混合角はクォークに比べて大きく、その特徴的なパターンを説明するためにしばしば非可換な離散群をフレーバー対称性の群とする模型が用いられる。一方、暗黒物質の候補となる重い粒子を模型に含める場合にはその安定性を保証するために何らかの対称性を課すことが多い。本研究ではフレーバー構造と暗黒物質の安定性という一見かけ離れた二つの問題を、ひとつの離散対称性によって同時に解決することを試みる。
Grand Unification and Proton Decay in High-scale Supersymmetry
氏名 桑原 拓巳 学年 D1
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 LHC 8TeVの結果から、Higgs粒子の質量や様々な標準模型を超える物理に関する制限が加えられた。これらの現状をふまえた上で、標準模型を超える物理の候補の1つとして高いスケールで破れる超対称性のシナリオが着目されている。本研究では、高いスケールで破れる超対称性のもとでのゲージ相互作用の統一及び大統一理論における陽子崩壊に関して議論する。
新たなスピン2模型の構築とその応用
氏名 大原 悠一 学年 D1
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 dRGT理論と呼ばれる完全非線形な有限質量スピン2理論が近年定式化された。質量を持つスピン2理論に対し、相互作用項を加えると一般にゴーストを生じてしまうが、dRGT理論は、ゴーストを生じない完全非線形ポテンシャルを用意する事で、この問題を解決している。本発表では、このdRGT理論のポテンシャル項を利用した新たなスピン2模型の提案し、模型の応用ついて議論する。
電弱カイラルラグランジアンを用いたヒッグスセクターに関する新物理探索
氏名 長井 遼 学年 D1
所属 名古屋大学 理学研究科
概要
 本講演では、摂動論的ユニタリー性や紫外発散の繰り込みといった、模型の詳細に依らない準理論的観点から、拡張ヒッグスセクターの可能性を議論する。具体的には、一昨年発見されたヒッグス粒子に加えて、他にも様々なヒッグス粒子が存在する状況を、電弱カイラルラグランジアンを応用した一般的な枠組みを用いて表現し、この模型の摂動論的ユニタリー性や、輻射補正における余分なヒッグス粒子の影響を評価することにより、この余分なヒッグス粒子の性質を、系統的かつ包括的に解析する。
取り消し
氏名 学年
所属
概要
 
スケール不変性に基づく標準模型の拡張とその検証可能性について
氏名 後藤 弘光 学年 M2
所属 金沢大学 自然科学研究科
概要
 現在までのLHC実験によって、標準模型がプランクスケールまで自己矛盾を含んでいない理論である事がわかっている。これは標準模型の拡張において、それ自身の構造を大幅に変更する必要がない事を示唆していると考える事ができる。したがって本研究は、スケール不変性に基づいて、QCDの構造を持ったHidden Sectorによる標準模型の拡張を行う。そしてこの模型が予言する暗黒物質とHidden Sectorの構造の実験での検証可能性について議論する。
高密度QCDにおけるダイオニック・ノンアーベリアン・ボーテックス解
氏名 村上 善英 学年 M2
所属 山形大学 理工学研究科
概要
 高密度QCDのカラー超伝導CFL相におけるソリトン解としてノンアーベリアン・ボーテックス解がある。この解はCP^2の内部自由度を持ち、今までの研究においてはその中の一点を固定した静的な解のみが考えられてきた。一方、SUSYを入れた超対称QCDなどでは内部空間を回転するような定常的なダイオニック・ボーテックス解(Q-ボーテックス解)が考えられており、本研究ではその解を高密度QCDにおいて構築する。
Nekrasov Partition Function(レビュー)
氏名 谷口 太基 学年 M1
所属 東京工業大学 理工学研究科
概要
 N=2 の超対称性を持ったゲージ論の非摂動効果に対する理解は 1994 年の Seiberg と Witten の考察によって大きく進展し、その一 般化に関しては 1994 年以降数々の仕事がなされてきた。その中で 2002 年に Nekrasov が発表した Nekrasov の分配函数は N=2 超対称 ゲージ理論のプレポテンシャルを計算する非常に一般的な枠組みを 与える結果であった。本発表ではこの Nekrasov の分配函数の紹介 および、その導出に関して説明する。
粒子の揺らいだ運動によるUnruh効果の解析
氏名 森本 光 学年 M2
所属 九州大学 理学府
概要
 Minkowski空間において場の中をdetectorが一様加速するとき、そのdetectorはUnruh温度を持つ熱浴に浸っているのと同 じ状態になり、輻射を生じるという効果(Unruh効果)が予言されている。さらにスカラー 場中を加速している粒子が backreactionを受けて揺らぐ状況を考えること で、その揺らぎからUnruh温度と同一なものが導出され、それ に伴う輻射が解析されている。ここでは複数の場と相互作用する場合にも、粒子の揺らいだ運動に対してUnruh温度が導出されることを示した。
ホログラフィック超伝導における多成分超伝導モデル
氏名 西田 充宏 学年 D1
所属 大阪大学 理学研究科
概要
 超伝導は現代物理学の重要な研究対象であるが、物性理論の分野では秩序パラメータが複数存在する多成分超伝導というものが研究されている。一方、弦理論には曲がった時空を用いて相転移を記述するホログラフィック超伝導という研究分野が存在する。今回の発表では、ホログラフィック超伝導による多成分超伝導のモデルについて紹介する。
A recent development of the conformal bootstrap (レビュー)
氏名 長谷川 知香 学年 D2
所属 立教大学 理学研究科
概要
 本発表では、共形ブートストラップの手法を用いて調べられている、2次元よりも高次元な共形場理論における最近の進展について紹介する。
参考文献:[arXiv:0807.0004 [hep-th]], [arXiv:1304.1803 [hep-th]], [arXiv:1406.4814 [hep-th]] etc.
SU(2)ゲージ対称性を伴う有質量粒子のツイスター模型
氏名 岡野 諭 学年 D2
所属 日本大学 理工学研究科
概要
 ツイスター理論は主に無質量粒子の記述や解析に有効な理論であり,無質量粒子は1個のツイスター変数により記述される.一方,有質量粒子を記述する際にはN(N≧2)個のツイスター変数が必要であり,それに伴うSU(N)対称性が導入される.我々は局所SU(2)ゲージ対称性を伴う有質量粒子の作用を与え,正準形式における拘束条件を解析し量子化を実行する.そこで導かれる波動関数がもつ性質からSU(2)対称性の物理的意味を考察すると共に,高階スピン場が従う方程式が導かれることを示す。
F理論による3世代構造の幾何学的解釈
氏名 坂口 智樹 学年 D1
所属 総合研究大学院大学
概要
 クォーク、レプトンの3世代構造を説明する模型として世代統一模型が九後、柳 田によって提唱された。 これを超弦理論から導こうとすると例外群のゲージ対称性が対称性の拡大によっ て実現されることが必要だが、 これは一般の(p、q)7ブレーンを含むことで可能になる。したがって、先の模型 を実現する7ブレーンの配位が存在する。 この配位はコンパクト化空間上の特異点のクラスを反映するのでコンパクト化空 間の幾何に由来する。本発表では具体的な九後柳田模型をベースに7ブレーンの配位について議論す る。
高温QCDにおけるU(1)Aアノマリー
氏名 富谷 昭夫 学年 D3
所属 大阪大学
概要
 2兆度より高温では、陽子、中性子が溶けてしまい、 クォークとグルーオンのプラズマ状態へ相転移する。 この過程は量子色力学(QCD)で記述される。 最近の研究で、この相転移においてSU(2)L x SU(2)Rのカイラル対称性とともに、 量子異常のある軸性U(1)対称性が回復するという可能性が示されている。 発表では、格子上のカイラルフェルミオン(一般化DWF)を用いた 数値計算を通してU(1)A対称性の回復の有無について議論する。
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