基礎物理学研究所研究会
「物理と情報の階層構造 ―情報を接点とした諸階層の制御と創発―」
Hierarchy in Physics through Information - It's Control and Emergence -

日程

2012年1月5日(木),6日(金),7日(土)

場所

京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館 Panasonic国際交流ホール

趣旨

自然界のすべての構造は、ミクロからマクロまで60桁のスケールにわたる階層を作って、自律的に生成・進化・崩壊を繰り返す動的存在である。そのような自然界に対する通常の研究アプローチでは、スケールの異なる階層ごとに異なる法則が想定され、それぞれの分野を独立に形成してきた。しかし自然界の情報をつかさどる物理法則はスケールによって分断されるわけではなく、同じ法則や原理が形を変えて複数の階層を支配する。この階層を越えたミクロマクロ双方向の連続的な繋がりを我々は標語的に「ミクロマクロ双対性」と呼び、複数階層にわたって存在する普遍的な物理を議論する場を提供してきた。
今年度の研究会では、物理の持つ「情報」というスケールフリーな視点に着目し、その制御と自律性との関連を広い分野から議論したい。もちろんすべてのスケールを一気に議論できるわけではなく、それぞれの専門分野からの視点とスケールの拡大という形が現実的であろう。従って、基本セッションを大まかなスケールで小中大3つに分け、これらの間を結ぶ物理をそれぞれの分野から議論する、という形式を取る。

関連テーマ

  1. 量子論と情報:
    エネルギー・運動量の輸送と情報、マクロ時空と情報の関わり、相転移と測定、対称性の自滅と構造形成、量子集合論、確率論、作用素環と量子場の数理、相対論と情報、量子揺らぎと宇宙の暗黒エネルギー、エンタングルメントと情報、量子測定の多様性と情報、を含む。
  2. 熱・統計力学と情報:
    ミクロな情報を意識した非平衡統計力学や非加法的統計力学、大偏差統計力学、宇宙・重力系への応用を目指した統計力学の拡張、履歴(学習)効果、情報の獲得と自己組織化(創発)、階層間の調和と繰り込み・スケーリング、を含む。
  3. 宇宙と情報:
    一般相対論とエントロピー・熱力学、初期宇宙の相転移と揺らぎの生成、インフレーションによる量子場のスクイージング、ブラックホールの制御、重力波の推定、地球磁場変動と非平衡統計、太陽準周期活動と引き込み現象、空間に埋もれたユークリッド的時間からローレンツ的時間への転移、マクロな重力の集積のミクロな物理、を含む。

プログラム (1月2日版 Version 4)

プログラム(2010年度版)

講究録はこちら Soryushiron Kenkyu 10 No.1 (2011).

プログラム(2009年度版)

講究録はこちら RIMS Kokyuroku 1705 (2010).

発表・参加申し込み (発表申込締切:11月30日)

参加申し込みフォームはこちらです。旅費または北白川宿舎希望の方は早めにお申し込みください。(11月17日を持ちまして北白川宿舎の宿泊に関しては受付を終了しました。)

世話人から参加者へのお願い

多くの分野をまたがる研究会になりますが、異なる階層の間の橋渡しをすることに物理学の意義がある、という研究会主旨に賛同していただき、なるべく全日程の参加をお願いしたいと存じます。また、基礎物理学研究所からは会場および研究費の提供をいただいています。皆さんの積極的な参加により、実り多い研究会にしていただきたいと考えております。
基研研究会の開催は、基礎物理学研究所の共同利用活動の大きな柱の一つになっています。現在、基礎物理学研究所では、このような共同利用活動の必要性を誰の目にも分りやすいものにするために、研究会の成果を具体的なかたちで残していく取り組みを行っております。その一環として、今年度より基研研究会に触発された研究論文に関して、その旨を謝辞で言及して頂くことをお願いしています。更に、当該論文を基研に報告して頂き、Web上、及び Annual Report にプログラム、論文listを公開することで、成果が分りやすいものになるように努めます。以上の主旨をご理解の上、研究会参加者皆様のご協力をお願い申し上げます。謝辞を記す場合は、
The authors thank the Yukawa Institute for Theoretical Physics at Kyoto University, where this work was initiated [completed] during the YITP- on "Hierarchy in Physics through Information -- It's Control and Emergence --".

The authors thank the Yukawa Institute for Theoretical Physics at Kyoto University. Discussions during the YITP workshop YITP- on "Hierarchy in Physics through Information -- It's Control and Emergence --" were useful to complete this work.
などの文例のように作成していただければ幸いです。

会議録

素粒子論研究に寄稿予定。講演者の皆様には報告書原稿の作成をお願いします。

世話人

小嶋 泉 (京都大学 数理解析研究所)
谷村 省吾 (名古屋大学)
筒井 泉 (高エネルギー加速器研究機構)
沙川 貴大 (京都大学 基礎物理学研究所)
佐々木 隆 (京都大学 基礎物理学研究所)
鹿野 豊 (東京工業大学)
細谷 暁夫 (東京工業大学)
森川 雅博 (お茶の水女子大学)

連絡先

鹿野 豊 (東京工業大学)
電話 +81-3-5734-2718
メール:shikano_at_th.phys.titech.ac.jp "_at_"を"@"に変えて送ってください。